コピーライターが気になる歌詞

我輩はコピーライターである。 出世作はまだない。
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東京事変 『キラーチューン』
「贅沢は味方」もっと欲しがります
 負けたって 勝ったって
 この感度は揺るがないの
 貧しさこそが敵








 贅沢は敵だ
 
 欲しがりません勝つまでは


戦時中の有名なキャッチコピー。
国力が衰退する中で、不満や憤りのやり場を美徳に転化させようとした欺瞞のコトバ。
椎名林檎の言葉は常に挑発的だ
性的な匂いがあってもなくても、いつも挑戦的というより挑発的。

貧しさこそが敵

このコトバなんて、まったくもって、純粋なアンチテーゼ。






「贅沢は味方」もっと欲しがります
 負けたって 勝ったって
 この感度は揺るがないの
 貧しさこそが敵

 贅沢するにはきっと財布だけじゃ足りないね
 だって麗しいのはザラにないの
 洗脳(わな)にご注意

 ご覧、ほらねわざと逢えたんだ
 季節を使い捨て生きていこう
 夜も秋も盗めないよ
 貴方は私の一生もの

 贅沢するにはきっと妬まれなきゃいけないね
 ちょっと芳(かぐわ)しいのを睨まないで
 欲しがらないなら

「今日は一度切り」無駄がなけりゃ意味がない
 絶対美しいのは計れないの
 溢れ出すから

 ご覧、険しい日本(ここ)で逢えたんだ
 探し出してくれて有り難う
 空も恋も騙せないよ
 私は貴方の一生もの






ちなみにこのPV、少し前まで、iTunesのミュージックビデオランキングでずっと1位でしたね。
買いましたけど。思わず。なんか買わざるを得なかった。

いくつか言いたいことがあるので順番に。


【贅沢は味方

これは先にも述べたように、戦時中のメッセージのアンチテーゼ。
であると同時に現代のアンチテーゼでもある。

よく言われる一億総中流意識
そこにあるのは裏腹な感情としての「貧乏ではないけれど、贅沢をするほどでもない」という意識。

「清貧の思想」や、貧しき者は富める者という発想は、どこかわかるようでいて、信じ難い。
信じてしまえば、疑問の余地はないのだろうけど、信じられないだけに、疑問の余地があり。

セレブなんて、使いやすい用語が生まれたおかけで、なんとなく富めることへの抵抗がなくなった気配がないことはないけれど、積極的に贅沢を喧伝するほどにはなれないシャイな日本の私たち。
もしかしたら、それこそが、自虐史観なのかもしれない。なんて思わないこともない。


【じゃあ贅沢って何?】

必要な程度を越えて、物事に金銭や物などを使うこと。金銭や物などを惜しまないこと。また、そのさま。
なんて、辞書を引けば出てくるけれど、この歌で椎名林檎が訴えているのはちょっと違う。

たとえば、

贅沢するにはきっと財布だけじゃ足りないね
贅沢するにはきっと妬まれなきゃいけないね

とか、

季節を使い捨て生きていこう
「今日は一度切り」無駄がなけりゃ意味がない

とか、

貴方は私の一生もの
私は貴方の一生もの


とか、読み解いていくと、彼女のいう贅沢の本質、贅沢という時間が、通常使われる意味での贅沢ではないことが浮かび上がってくる。

あえて言う。それは意外と単純なもの。
誤解や批判を恐れずに言えば、もっと若気の至りにも達するほどの子供じみた純粋なもの
であるような気がする。

つまり、実のところ金銭的な価値観とは別の次元にある、素敵な彼氏と一緒にいること、それを独占し、周囲から羨望の眼差しで眺められること、に近い何かである気がするのである。

…だいぶ無茶を承知で言い切るなれば、いいオトコと一緒にいる刹那的、でも絶対的な優越感をも含めた悦び。これこそが贅沢と呼ばれる、ここで彼女が言わんとするものの本質に近いものである、のではと思う。

その感覚は女性には、本質的に、或いは本能的に、ないとは言い切れないものではないのか、と。

本音で言ってしまえば、そんな感じではありませんか。
緑色の怪物とか、おどろおどろしい表現の対象となる感覚って、思いのほか強いものであるような気がするんですよねぇ。


【貴方は私の一生もの / 私は貴方の一生もの】

「一生もの」という表現は、即物的であり、通常ひとを指すコトバとしては使わない。
だからこそ、その逆説的なギャップから、伝えようとするものが、伝わるものが、ある。
先に述べたような、刹那的な数々の描写とのギャップもあり、違和感が強烈な印象として残るのである。
こうした表現も、挑発的な印象を禁じ得ない。
椎名林檎という、他に類を見ない、特別な才能が生み出した、特別な表現なのである。


【わざと会えたんだ / 険しい日本(ここ)で逢えたんだ 探し出してくれて有り難う】


これは…なんというのか、普通に分析しようにも、どこか混乱してしまう。
ほどに、日本語としては、日本人としては、激しいコトバ遣い。
国語の先生や、生活指導の先生だけでなく、哲学の先生からも注意を受けるべきコトバ遣いです。
「わざと会えた」という言い回しや、「険しい日本(ここ)」という歴史観、「探し出してくれて有り難う」という恋愛観は、やはりどこか常人では計り知れないもの。
※「贅沢は味方」の時点で、右寄りの歴史の先生から注意を受けそうですけど。
(右寄りの歴史の先生なんて、あまり遭遇したことはありまえせんけどね)


…とまあ、とっちらかってしまったこの感じを、うまくまとめるとかできませんから。
一つ一つのフレーズが、一つ一つの言い回しが、逐一「感」に触る曲でした。








Comment
≪この記事へのコメント≫
私は 貴方=ファンだと思ってたんだけど
どうだろう


財布だけじゃ足りない なら
歌えばいいんだし

足りない の意味が 
お金で買えるものだけじゃないってほうでも
理解できなくない


探し出してくれてありがとう とかも
音楽が溢れてる中で とか



一生 椎名林檎で歌っていくぜ☆ 

みたいなかんじに
受け取れるきがしてこない?



2008/09/09(火) 09:43:04 | URL | 通り魔 #p6n3HXY6[ 編集]
なるほど
この曲名が「キラーチューン」であることからも、その解釈も当たっているのかもしれませんね。

そうすると…

> だって麗しいのはザラにないの
> 洗脳(わな)にご注意

は、本物の少ない音楽業界への批判とも読めるし、


> ご覧、険しい日本(ここ)で逢えたんだ
> 探し出してくれて有り難う

も、雑多な音楽シーンの中から選んでくれたことを表しているとも捉えられる。


贅沢と貧しさの対比などはまた別なのかもしれませんが、なるほど…と思いました。

ファンに対して、「貴方は私の一生もの」というメッセージは、なんとも素敵ですね。
2008/09/10(水) 17:29:26 | URL | kiku #Di5TU3Tw[ 編集]
いまさらですが
こんばんわ。
いきなりすみません。

いつも見させてもらってます。
フーバーオーバー好きです。

キラーチューン聴いて、
僕はきのうおもいまいた。
「夜は音楽」とか「音楽の秋」とか、慣用句があります。
でも、あなたは、夜にも秋にも盗まれない、私(音楽)の一生ものです。

音楽は空を捉えたり恋をモチーフにしたものが多い。
私は、空にも恋にも騙されない、あなたの一生ものです。

ってゆー音楽と聴く人のことをうたった歌なんだなって思いました。

そういうほんとに優しいことを言ってくれる歌「キラーチューン」と椎名林檎がこの世界にいるなんて、僕らはなんて幸せなんだろうって思いました。
感動して涙がでました。

あとは他の8JOHさんが思ったことと、他のコメントが混ざった見解にいます。

きゅうにしゃしゃりでてすみませんが、あまりにも感動したので・・・伝えたかったんです。
2008/10/04(土) 18:43:16 | URL | アデニン #-[ 編集]
いろいろな…
解釈がもっと他にもできるような気もしますね。
なるほど…と感心してみたり、新しい意見を聞いて、改めて音楽を聴いて、またいろいろと考えがに広がりが生まれたり。

多種多様な解釈や可能性が生まれるということからも、テキストとして優れていることがうかがい知れます。

でもやっぱり…と思い至るのは、歌詞だけでなく、音楽がなによりすばらしいということ。

この楽曲の力そのものが、キラーチューンがキラーチューンである所以であり、どんな言葉よりも雄弁に物語っているんじゃないかと、そう思ってしまいます。

生楽器を使ったバック演奏も含めて、僕は何よりも曲として大好きなのです。

生で聴いてみたいものですね。
いつか・・・
2008/10/06(月) 15:33:03 | URL | kiku #Di5TU3Tw[ 編集]
すごい今更…
もう一年以上も前の記事だけど自己満足で書きたくて。
恋愛っていうの間違ってないと思います。音楽っていうのも。
だけどお子さんを忘れないでほしいです。


私は人生の曲だと思ってます。
2008/10/09(木) 03:51:17 | URL | #-[ 編集]
贅沢の定義。
はじめまして。こんにちわ。
キラーチューンが凄く好きで、このサイトを見つけて嬉しくなったので書き込ませてください。

贅沢の定義なんて,人それぞれ違いますが、
私の勝手な解釈ですが、この歌詞の贅沢って幸せを指すんだと思います。
もちろん分かりやすい富ではく、もっと人間の本質的な、
一生つき合って生きたいと思える誰かに会えた幸せや、お金に換えようのないたからものがある幸せ。
それに出会った私はなんてありがたく、幸せで贅沢なんだろう。と。

椎名林檎が言いたかったのはきっと単純で、
特別だと思える人や物や出来事や考え方や場所全て、自分に起こる全てに向け、
出会えたありがたみと感謝を込めた感情を歌った曲なんじゃないでしょうか。


ご覧、険しい日本(ここ)で逢えたんだ
探し出してくれて有り難う
空も恋も騙せないよ
私は貴方の一生もの

一番好きなフレーズです。
この意味を考えると

何億といる人の中で、運命のように出会えた。
本当に自分の気持ちを隠せない騙せないのは、空を塗り替えることが出来ないのと同じ位
不可能なこと。私はあなたに会えた全てに感謝している。

なんて。

家族や友達や恋人尊敬する人、
一生つきあっていきたいと思える人に出会える確率はどれくらいあるのでしょうね。


色々考えさせられる曲です。
と同時に真っ直ぐでいいんだと思わせてくれる曲です。
この曲は本当に贅沢な曲ですよね。
2009/05/26(火) 11:11:12 | URL | fujixerox #-[ 編集]
おじゃまします。
贅沢は欲求です。
日本では自我を通すことがままならなかったり、周りに合わせることを求められたりします。
自分の本能のまま生きるのはなかなか難しい。したくても、怖かったり、縛りがあったりして、物欲で差し替えて本当に欲しいものをほしがらない人間でいることを選びます。そのうち欲しいものが見えなくなります。
自分が本当に欲しいものが見えていて、欲しがって一生かけて回り道するのは、とても贅沢です。
今の日本では特に贅沢かもしれません。
みなさんの色々な解釈を知ることができて
よかったです。

2009/05/26(火) 15:40:15 | URL | ポンペイの赤 #-[ 編集]
なるほど×2
金銭

音楽

ファン

恋愛

人生

幸せ

欲求

……

この1曲だけで、いろいろなテーマが出てきました。
それだけイメージが広がる強い言葉がたくさん散りばめられているからなんでしょうね。

私もみなさんの解釈をそれぞれ読み返しながら、あらためてこの曲をいろいろな角度からじっくりと味わいたいと思います。

ん~それにしても、すごいですね。
2009/05/29(金) 18:50:45 | URL | kiku #Di5TU3Tw[ 編集]
財布
なるほど~。
贅沢するには財布だけじゃ足りない、の意味を探してここに来ましたが、いよいよ本質的な解釈をされているのですね!忘れていました。思い出させてくれてありがとうございます:)
2010/02/18(木) 00:16:28 | URL | #-[ 編集]
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