コピーライターが気になる歌詞

我輩はコピーライターである。 出世作はまだない。
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星野源 『くだらないの中に』
くだらないの中に愛が

人は笑うように生きる





くだらないの中に愛が
ここにはたくさんの省略がある。

くだらないことの中に本当の愛がある
省略なしに意味だけを丁寧に語るとこういうことになると思うのだが、

「くだらないの中に」
というたどたどしくて、少し物足りなくて、もどかしくも感じる、絶妙な言葉遣いによって、
他にはない印象的なコトバとして心にひっかかる。

ありきたりな日常にこそ、
ありふれた出来事にこそ、
本当の幸せがある。
というのは、いつの時代も繰り返し語られ、
どこへ行っても繰り返し耳にする
ありふれた真理である。
が、人はそのことをすぐに忘れてしまうので、
何度も語られるのだろうし、
何度聞いてもそうだよな、と思い至る。


人は笑うように生きる

この直喩の奇妙さと絶妙さは…なんと言ったらいいか。
普通の日本語感覚では変な印象を受けてしまうのはきっと、
「笑うように」という喩えが、
主語である「人」の感情の一部であり、
「生きる」ことに含まれているものなのに…
というひっかかりだと思う。

「~のように」と喩えられる対象は、普通は“別モノ”をもってくる。
「人は水のように生きる」
あるいは
「人は急ぐように生きる」
といった状態を表現する言葉もあるだろう。

私がかつてレトリック論の入門書として読んだ、レトリック感覚にも、レトリック認識にも、こんな表現はなかったように思う。
かなり昔に読んだのでまったくもって記憶は不確かではあるが、
少なくともこんなに違和感と刺激を感じたレトリックはなかった。

人は笑うように生きる
なんでしょう。この違和感と、そんなものを超越した説得力は。
うん、そうだよな。となぜか納得し、不思議と前向きになれる、この感覚は。
いろんな問題も、「君が笑えば、僕が笑えば、解決することばかり」なのだから。

そしてふとアランの幸福論を思い出す。
「人は幸せだから笑うのではない、笑うから幸せなのだ」
どちらも人間の同じ心理と真理をついているんだと思う。

死にたいくらいの朝には、ちょっと物足りないとしても、
泣きたいくらいの夜には、ちょうどいい。
この優しい歌を聞けば、ふっと心が軽くなって、
ふっと笑みなんかも浮かべたりして、
いい眠りをもたらしてくれる、
そんな大切な歌です。

*****************************
さて、もう少しだけこの曲を掘り下げてみたい。
この曲は星野源を代表する曲であり、
ファンからの人気投票でも1位(crazy crazyの特典映像より)を獲得したが、
残念ながら世の中的には「大ヒット曲」ではない。

それは、もちろん、マーケティングの規模から、時期から、時代から、
いろいろな理由があるのだろうが、「曲そのもの」にフォーカスした場合に、
「大ヒット曲」にはなりえなかった理由が一つだけあるような気がしている。

それは曲の「構成」だ。

この曲はとにもかくにも、出だしのAメロ=サビが、サイコーだ。
髪の毛の匂いを嗅ぎ合うという、意表をついた変態的な歌詞も相まって非常に印象的だ。
そして今回の「気になる歌詞」である、『くだらないの中に愛が 人は笑うように生きる』という
普遍的に心にサクッと軽く、でも深く深く、突き刺さる言葉でまとめあげている。
この曲が大ヒットにならなかったのは、
「この素晴らしいAメロを繰り返すことなく、すぐBメロにいってしまうこと」
だと私は思っている。

思い出してほしい。「上を向いて歩こう」を。
あれは基本的に、A-A-B-Aの構成になっている。
みんなが大好きで、いっぱい聞きたいAメロを、
いわゆる「1番」の中で3回も聞かせてくれるわけだ。

思い出してほしい、「歩いて帰ろう」を。
あれも、A-A-B-Aの構成ではじまるわけで、
特に1つめのAが終わった後、2つ目のAメロにいくときの、
あの「大好きな今のアレ、もう一回いくよ!」的な、ワクワク感と高揚感。
あれ…いいですよね。カラオケで歌っていても、ハッピーな気分になれる。

『くだらないの中に』の構成はこうなっている。

A-B-A-B-C―A―A

カラオケで歌ってみればわかるが、
出だしのA-B-A-Bまで、間奏もなく一気に進むため、
歌っていると声が続かなくなりがちだし、
A-B-A-Bが終わるまで歌う方も聞く方も
一息つくことを許さないストイックな流れとなっている。

これをせめて出だしだけでも、
A-A-B-Aではじめられたなら……
いわゆるヒット曲に、もっとなりやすかった。

現に…と言うのも大変失礼だが、
私が遊びでピアノとビオラ(!)とのデュオで短く編曲した際には、
A-A-B-A-A
という構成で弾き語らせていただきました。
しかもBメロはビオラがメロディをとるソロという、
「どれだけAメロ歌いたいんだ!」というアレンジで。
…余談でした…


…いろいろとつらつらと書きましたが、
つまりは「A-A-B-A」というヒット曲の王道の構成であれば、
あのAメロが「この時代を代表するメロディ」として、
2010年代の代表曲にさえなったのではないか、と思うわけです。
ただ…そう。
「僕は時代のものじゃなくて あなたのものになりたいんだ」
と私の邪論を諭すかのように、Cメロの中でしっかり歌っていましたね。

そして…そう。
素直にこうも思うのです。
この曲はヒット曲の構成を(あえて)とらなかったことによって、
「ありふれたヒット曲」ではなく、
聴く人にとって忘れがたい「本当に特別な名曲」になっている、と。
とてつもなく美しいメロディーと、
とんでもなく変態的な歌詞と、
「王道」ではなく「茨道」を選んだひねくれた構成によって、
少なくとも私にとっては、生涯忘れ得ぬ、
本当に大切な一曲になりました。

「くだらない」ことばかりここまで語った気がしますが、
それもまたこの曲に対する「愛」なのです。



…と、2010年10月以来、5年ぶりの記事を、
あたかも1週間ぶりくらいのトーンで書いてみました。








Comment
≪この記事へのコメント≫
祝い 更新!
祝^ ^わー わー
更新されてる!
お元気ですか?と思わず聞いてしまいそうです

またコメントしてよろしいでしょうか?


2016/01/15(金) 23:46:49 | URL | 行人 #23d/zxvE[ 編集]
笑うようにのくだり
これは星野さんの人生哲学なように思えるので
少し記述させていただきます。(少しといいつつ長いのですが)
4〜5年前になりますがボクらの時代という日曜朝にやってた鼎談番組で
星野さんが語られていたことによりますと
彼は小学校の頃に周りに馴染めなくて浮いた存在だったことを告白されていました。
ーまぁこういうの抱えているのはきっと彼だけではないと思いますが
ただ彼のお母さんの素晴らしいところは
そんなつまんなさそうな顔をしている我が子を
何があったかは聴かないんだけれど取り敢えず元気づかせたかった。
ーそれが笑わせることだったんです。
学校から帰ってくると母自らサプライズよろしく驚かせたり、わざとおどけて笑わせるようなことをして素直に笑いってこんなに人を勇気づかせるものなのかと
今の芸能活動をする大きなきっかけだったと語っておられました
私は大人計画の生の舞台を見たことがないのでなんとも言えませんが
松尾スズキにしてもクドカンにしても
学校のクラスには人気者の区分ってありますよね
大抵は運動が出来る子、面白い子がメジャーなわけです。
うん。でもダメな奴(ホントはダメじゃないけど)ダメな奴の悲哀を語っていいんじゃないか
世間に対して
卑屈になっている部分があって、それが足かせだったとしたら、どこに活動の場をさ求めるの?ダメでいいじゃん
内在する変態気質を爆発させろ。。。
そんなノリを感じます。
うまく言えませんが俗っぽく言えば劣等感を逆手に取るっていうんでしょうか。
カウンターカルチャーの文化って多少そうした劣等感から生まれているような気がします
2016/01/23(土) 11:57:58 | URL | 行人 #23d/zxvE[ 編集]
おかえりなさい
事ある毎にふと遊びにきていたこのブログ

もう更新される事はないのかなぁ~と思いつつ又やってきてしまいました。

なんと新しい記事が!そして懐かしい方のコメントが!

嬉し過ぎです。
kiku様おかえりなさい。
ありがとうございます。
2016/01/24(日) 19:22:49 | URL | がんも #Lk84Cx12[ 編集]
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2016/01/25(月) 14:43:39 | URL | サイバークエスト石谷 #-[ 編集]
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